プロジェクトは計画通りいかないものです。プロジェクトマネジャーは、それでも目標達成のために力を注がなければなりません。今回は、そのやりくりの方法や遅れの原因に対する働きかけといった進捗管理の4つのポイントについてまとめました。
プロジェクトは計画通りいかないもの
プロジェクトには、限りがあります。納期、コスト、人員、それらの限りのあるなかで、目標を達成するための活動です。
したがって、限られた期間に間に合うように作業計画を立て、その通りに進めていけるよう管理していきます。これが、プロジェクトマネジメントというものです。
ところが、実行するのは人間ですから、そう簡単には計画通りはいかないものです。
ロボットのように寸分の誤差をもなくタスクをこなすのは不可能ですので、許容値を含む幅の時間管理が必要です。実際には計画より早く進んだり、遅れたりするなど、ズレが生じます。結果として、最後の納期に間に合うようになんとかやりくりしたり、あるいは間に合わず納期を変更したりといった対応を強いられます。
たまに計画を無視して動く人もいますが、そのような人は当然上手くいかないですが、厳しく管理すればするほど進捗が遅れるということも起こりえます。
スケジュール表を作成する場合には、どの程度細かく管理するのかを決めておくことも重要です。メンバーの権限委譲の度合いや自主性を促す動機付けといったことも考慮し、バランスのとれたマネジメントを心掛けましょう。
今回は、そのやりくりの方法や遅れの原因に対する働きかけといった進捗管理の4つのポイントについて解説します。
進捗管理のポイント:1 責任を明確にすること
プロジェクトは、あらゆるタスクの連続でその結果として成果物を出荷します。まず、プロジェクトの計画設計の段階で、すべての成果物に対して、それぞれ責任者を明確にし、各アイテムの完成に誰が責任を持つのかをメンバー全員が共有することが求められます。
そのメリットは、成果物に関連した問題があると、その責任者はいち早くチームに報告するようになることです。なぜなら、自分に責任があることを理解しているからです。もし時間的に余裕がなければ、自分に責任がないものに関しては、他の人がなんとかしてくれると任せてしましがちです。こうして問題は無視され、進捗に影響を及ぼします。
プロジェクトは期待通りに完了しないこともあります。もし、誰にも責任がないとすれば、問題は修正できず、その責任は誰にあるのかを探すようなムダな労力を強いられます。
だからといって、責任を追及するためのものではないことを理解しておかなければなりません。そうではなく、責任をうまく分散するための手段であり、成果物が期待通りに完成したときには、賞賛されるべきであり、そのためのモチベーションも上がることでしょう。
進捗管理のポイント:2 スケジュール管理
スケジュールのズレとは、作業ごとに指定された開始日と終了日に対する実際に行われた日との差です。
その差の大きさがプロジェクト全体に与える影響を分析しながら、対策を講じる必要があります。
また、あらかじめ問題が発生し進捗が遅れることも予測し、その遅れを取り戻す対応の日数分のバッファを挿入して余裕を持った計画を設計することも重要です。このバッファの残量も見ながら対策を講じます。
スケジュールの効率指数の許容範囲は、通常±5%と言われています。しかし、この数字を一律に考えず、例えばプロジェクトの始めの3分の1は±10%程度で管理しておいて、次の3分の1には±5%、最後の3分の1に±1%程度というふうに工夫しながら進めていくのも良いと思います。
ただし、注意したいのは、前半での甘い管理のツケは、必ず後半に回ってくるということです。余裕を持たせることと、いい加減に管理することとは違います。リスクを考えて慎重に管理をしましょう。
進捗管理のポイント:3 成果物の品質基準による遅れ
成果物は作り手から使い手へと引き渡されますが、最低限の保証活動として、引き渡す前に品質基準を満たしていることを確認しなければなりません。
不具合は取り除き、出荷時点では、作りと使い手がどちらも満足していなければならないのです。
この品質基準を満たせずにプロジェクトの進行に遅れが生じることはよくあることです。
この遅れた状況の中で、どう進捗管理していけばいいのでしょうか?
ここでのポイントは、報告内容の確認が重要です。
仮に、「90%終わりました、残り10%です」といった報告があった場合、どう捉えるでしょうか?
「残り10%なら、すぐ終わるな」と安心してしまうようでは、本質を見失っているかもしれません。
プロジェクトを管理する概念として、未来の起きることについて取り組んでいるという意識が念頭にあるべきです。
例えば、「何%終了した」という過去ではなく、「残り何%で、あと何日かかる」という未来表現が適切です。
過去に何をしたかではなく、これからどうするのかということが求められるのです。
先の例の場合、最初の90%は容易で、最後の10%に超難題が残っているかもしれません。
あと何%かはさして意味はありません。
大事なことは、あと何日かかるのかといった具体的な時間であり未来表現にあります。
進捗に遅れがある場合は、あと何が残されているのかといった作業や問題をはっきりとさせることが求められます。
進捗管理のポイント:4 正しい進捗評価
進捗を評価する際、これまでの実績に対して分析することがよくあります。
成果物の品質基準やスケジュールの遅れに対して、厳しく指摘するだけの分析では何の役にも立ちません。
問題の根本を突き詰めたうえで評価しなければならないのです。
資金や人員、技術不足がありながら、それらを補おうとしない本部の体制を無視して、リーダーだけに責任を押し付けてはプロジェクトマネジャーとしては優秀ではありません。
プロジェクトマネジャーは、なぜ、その事態が陥っているのかを見極めることが重要です。
常に「なぜなぜ?」と物事の本質も見極める目を持たなければならないのです。
ミスの再発防止もしたうえでの進行管理が求められています。
進捗管理のポイント:まとめ
プロジェクトマネージャーにとって、プロジェクトの進捗管理は重要な仕事です。
なかなか計画通りに進むことは難しいのが実情ですが、タスクごとの責任者を明確にし、スケジュールを管理、品質基準を満たすためにどれだけ遅れが発生しているのか、なぜその遅れが発生してしまっているのかを正しく評価することがポイントとなります。
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