ERP・パッケージ導入案件とキャリアアップ法

フリーコンサルタントの職種

2018年8月29日

専属エージェント

榎本 雅仁

SAPをはじめとするERP導入案件は、高単価の傾向にあります。
SEからキャリアチェンジを検討する場合には、技術面以外の知識も参入のポイントとなります。

SEからERPコンサルタントへキャリアアップするためには、主に技術面以外の部分での情報収集がカギとなります。では、具体的にどのような情報をキャッチアップし、仕事の知識として生かせるのでしょうか。

ERPパッケージの仕事とは?

企業を運営する中で中核となるシステムがERPパッケージです。
ERPパッケージの導入を行うためには、コンピュータ技術以外にも高度な専門知識が必要とされます。
そのような知識とコンピュータの知識を兼ね備え、ERP導入を行う高度なIT人材は「ERPコンサルタント」と呼ばれ活躍しています。
また、特定の業務を行うために設計されたシステムで、必要な設定を行ないすぐに業務が行えるように準備されているシステムをパッケージソフトウェアと呼んでいます。
これらのソフトウェアの導入に必要な知識を持った、企業のシステム導入をサポートするエンジニアも活躍しています。

ERPパッケージの導入に関わる業務の内容

ERP導入では営業の段階からコンサルタントとともに導入の前準備を行う事もしばしばあります。
ERPの導入を担当する上級エンジニアにはERPコンサルタントと呼ばれている人もいます。
営業担当者に同行して聞き取りや資料作成などの予備調査を兼ねて顧客に伺うこともあります。

ERPの導入ではコンサルティングの状況は大きく分けて「ERPパッケージを選択する場合」と「導入体制を作る場合」です。

ERPを導入する企業ではシステム担当の専門部署を持っている場合が多くありますが、一方で、システムに関する知識や経験を全く持っていないということもあります。
ERPパッケージは普通のソフトウェアとは違い、統合的に企業の活動を支えるためのパッケージなので、導入しただけではその効果は上がりません。
社内のIT担当者と業務のことをよく理解している現場のキーマンが中心となって導入することがポイントとなります。導入効果を上げるためにERPコンサルタントがコンサルティングを行うことになります。

ERPコンサルタントに必要とされるスキルとスキルアップ

ERPコンサルタントには、どのようなスキルが必要となるのでしょうか。
パッケージに関する知識以外のものも含め見ていきましょう。

  • パッケージ及びIT関連の高度な知識

当たり前ですが、ERP・パッケージ導入に関する技術的な知識は必須となります。
それに加え、IT関連の最新動向を踏まえた知識も必須。
顧客に提案をすることになるわけですから、常に自分の中の情報はアップデートできるようにアンテナを張り情報収集をしておく必要があります。

  • 会計・生産・人事などに対する理解

ERPコンサルタントへのキャリアアップにはシステム面の知識以外に、企業社会で一般的に使われているさまざまなルールについて知っておく必要があります。
以前にERPの基礎知識でもご紹介していますが、特にERPでよく使用されるのが、会計、生産、人事領域などの知識です。

会計の分野は、ほぼどの企業もシステム化を進めている重要な領域で、勘定や伝票、仕分けといった簿記の知識から、企業の決算処理に関する知識まで実に幅広いものです。
ERPコンサルタントとして活躍したいのであれば、最低限簿記の知識は持っておいたほうが有利。簿記の知識があれば、パッケージそのものに明るくなくともデータや帳票を見るだけである程度の仕組みを理解できることがあるからです。

一方、生産や人事といった領域は企業によって差が大きいため、完全に理解するまでには時間を要するかもしれません。
しかし基本となる考え方や知識は同じですので、最低限そのレベルは抑えておくようにしたいところです。

生産領域であればロジスティクスの基礎を頭に叩き込んでおくと非常に役立ちますし、人事領域であれば社労士の入門テキストを一通り読んでみるだけでも、知識の補強が可能です。
特に、会計や人事領域については、最新の情報をインプットしておく必要があります。

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  • 法改正も常に意識してERPのノウハウを蓄積

ERPコンサルタントとしてERPシステム導入のコンサルティングをおこなうためには、法改正についても常にアンテナを張っておく必要があります。
特に会計や税の分野に関する法改正は、ERPシステムの在り方そのものに影響を与えることが多く、法改正に備えた改修案件が数多く発生します。

わかりやすい例をあげるとすれば「消費税率の変更」があるでしょう。
税率が変更されれば、ERPシステム側でプログラム改修やカスタマイズ修正が発生する可能性が高く、それに伴って運用ルールの変更もあり得ます。

ERPパッケージによっては大きな法改正に合わせた「修正パッチ」などをリリースする場合がありますが、その修正パッチもあくまで標準機能の動きを保証しているものであって、独自で追加開発した部分については適用されません。つまり修正パッチを適用するか否かに関わらず、改修は発生すると考えておくのが無難です。

ERPコンサルティングを行う上では修正パッチの内容も把握しておかなければいけませんので、あらかじめパッケージの修正内容も頭に叩き込んでおきましょう。

ERPで扱う頻度が高い法律として、「給与に関するもの」「税に関するもの」「会計基準に関するもの」の3つが挙げられます。
これらは大なり小なり、毎年のように改正が発生しているため、その都度システム対応が必要か否かを判断していく必要があるのです。

またIFRSのように国際会計基準が強制的に適用されることになれば、会計システム自体を大幅に改修する必要もでてきます。
そのような場合、どの部分をどの程度改修すべきなのかを的確に判断してコンサルティングするためには、現行の会計基準とIFRSとの差分を理解しておかなければいけません。税に関しても、同様のことが言えます。

消費税率変更がクローズアップされがちな税制改正ですが、実は消費税率の変更自体はシステム対応がそれほど難しいわけではありません。
むしろ無駄なハードコーディングなどがなければ、マスタの値を変更するだけで対応完了となるケースが多いでしょう。

税関係のシステム対応で難しいのは、実際の税率変更よりも「仕入れ税額控除制度の変更(平成23年改正)」のような場合です。(いわゆる95%ルールの変更)
膨大な数の取引の中から、どの仕入れが課税売り上げに対応しているのかなどを判断しなければならず、システム内部の処理や帳票出力を大幅に修正する必要がでてきます。
このように目につきやすい大きな法改正よりも、人知れず進められるような「要件の変更」の類がシステムに大きな影響を与えることがあるため、関連する法改正には常に目を光らせておくことが重要となります。

  • 折衝力・ファシリテーション力・コミュニケーション力

ERPパッケージをどのように導入するのが企業に適しているかどうかを判断し、適切な導入と運用をサポートするためには、導入に最適なハードウェアやシステム構成や維持費、サポートについても知っておくだけでなく、わかりやすくクライアントに説明するための力も必要です。
つまり、IT関連の技術力や知識だけでなく、顧客との折衝力やコミュニケーション力、プレゼンテーション力といった能力もスキルアップには大切な要素となります。

業務や経営にかかわる実務知識や導入経験数は大変重要なので、キャリアアップのためには知識のブラッシュアップと学習は必須、勉強好きであることが望まれます。
また、与えられた制約条件の中で設定目標を管理し、クリアしていくための明晰な頭脳が要求されます。

ERPパッケージは導入すれば終わりというものではなく、企業の業務の高度化に伴い変化し、進化していくシステム。
ERPは企業の中枢を担う重要なシステムであり、普通のパッケージソフトウェアと比べて導入費用も桁違いに高価なのが現状です。
そのため、導入後のメンテナンスだけでなく、企業戦略だけでなく、未来を見通す能力や判断力も要求されます。
通信教育や独学などを通じて企業会計や経営戦略についての知識を学び、セミナーなどでコミュニケーション力やファシリテーション力を磨いておくと良いでしょう。

次に、パッケージソフトについて具体的にみてみましょう。

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パッケージソフトの業務内容

パッケージソフトには様々なものがあります。
財務管理や販売管理、顧客管理、商品管理、生産管理など、様々な分野でパッケージソフトが導入されていています。またシミュレーションパッケージや設計支援パッケージなどもあります。
昔は、業務用のソフトウェアといえばほとんどがオーダーメイドで、導入するにも大変お金のかかるものでした。しかし、様々な企業でソフトウェアの利用が進み、また、ソフトウェア開発が飽和状態に近づいてくることで、どこの企業でも共通に利用できる内容のものは様々な形でパッケージ化されています。

パッケージソフト導入の上での大切なポイントは、いかにソフトウェアを企業の業務に適応させ、業務の効率化や業績の向上に結び付けるかということです。

導入のためにアドバイスや支援をするための人材が、パッケージ導入のためのコンサルタントの役割を果たすということも珍しくありません。
パッケージ導入の際のアドバイスや支援を行うには正しい業務知識や企業側の視点での導入判断が必要になることがあるので、様々な経営知識や業務知識を持っていることが望まれます。

営業担当者でもコンサルタントのような話をする人がいますが、その質と内容やコンサルティング能力はパッケージ導入を担当するレベルには遙かに及ばないことが見受けられます。
営業担当者は販売業績を得る事を目的としますが、コンサルタントはその先のことまで考えて、導入企業の立場に立った導入やサポートといった具体的な行動が要求されます。

具体的なパッケージの概要をご紹介します。

  • 財務管理パッケージ

企業の基幹ソフトウェアで、取り扱うデータが財務情報なのでERPと似た使い方ができるような大規模なものから、数万円程度で小さな企業でも導入できるものもあります。
税理士などが事務所での経理処理の都合で勧められるものもあります。

財務パッケージには企業の活動を財務的に支えるための機能が含まれていますので、公認会計士の資格や税理士の資格を持って、最低でもITパスポート程度の正しいITの知識を持つようにすると、企業に対しても大きく貢献できます。

昨今では、様々な外部のデータとの連携によりERPのような役割を果たしているものもあります。販売管理の情報や生産管理の情報、経費情報などを取り込んで連携して活用するなどの知識も身につけておくと良いでしょう。

  • 販売管理パッケージなどの業務系パッケージ

販売管理に関わる知識や顧客管理、マーケティングなどの知識を持っておくことで有効にコンサルティングが行えます。
販売士などの資格を併せ持つことも効果的です。

在庫管理についても、在庫管理の基礎知識程度はしっかり知っておくことが必要です。
人事パッケージや勤怠システムなどは、総務の知識や業務経験があると導入時の会話などでもスムースに行う事ができます。

いずれの場合でも、売り上げや経費の管理などについての業務知識を持っておくと良いでしょう。

また、様々なデータを分析処理するためにCSVなどのデータを使ってExcelで情報の処理や分析を行う事は有効な方法です。
またコスト削減のためにオープンソース系の表計算を使っている企業もありますので、表計算のシステムについての全般的な知識や、自動処理をさせるためのスクリプトの知識を持っておくと良いでしょう。

  • 技術系パッケージの導入

パッケージにはCADやCAMなどのように、技術的な支援を目的としたものもたくさんあります。
こういった導入のためには、パッケージが的確に問題や要求を解決できるのかという分析とアドバイスが必要になります。
そのためには、業務内容や業務の流れをよく知ることが重要であり、しっかりとした業界の研究が必要になります。

実際に自分自身でシステムを使ってみて、使い方のインストラクションまでできるようになっておくことが望ましいでしょう。

導入業務のポイントとスキルアップ

企業ではシステム導入時の担当者として、真面目で頼れる人物を求めています。
会社として何をやりたいのか、また、会社の方向性や経営戦略が明確になっているかなど解決したい課題をクリアできる人物がサポートしてくれることを期待していると考えても良いでしょう。

もちろん、自分自身が担当するソフトウェアについて熟知して置くことはいうまでもありません。
システムの導入はトップのリーダーシップとシステム部門、ユーザー部門が参加する事が必須です。
そういったプロジェクトの運営をサポートする技術力と知識、経験、コミュニケーション能力などをしっかりと身につける事がスキルアップにつながります。

まとめ

ERP・パッケージの業務内容とスキルアップについてご紹介いたしました。
この分野では、実際のパッケージの内容だけでなく、それを活用することでいかに業務改善につながるかといったところまでを理解し提案する必要があります。つまり、導入後の実務についても理解をするところまでが、スキルであると言えます。

案件に参画する際や、転職を考える際には、その点を盛り込んだスキルシートの作成が必須となります。実際の導入経験数だけでなく、直接は関係しないのでは?と思う経験が評価される可能性も高いのです。

例えば、アルバイトで担当した販売管理ソフトの入力経験や、研修で触ったことのあるCADの経験なども、ERP・パッケージの導入業務については、プラスの評価となるのです。

フリーランスコンサルタント登録多数。高単価・戦略・PMO案件のご紹介。
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