人間中心設計(HCD)のポイントと勉強法

近年注目されている人間中心設計(HCD)という課題解決法があります。
モノを作る側ではなく、使う人間の要求に答えるためのモノづくりをするというアプローチです。
今回は、この人間中心設計(HCD)の具体的な進め方やポイントを解説し、これから学びたい方のための勉強法や資格についてもご紹介いたします。

■目次■

  1. 人間中心設計(HCD)とは
  2. 人間中心設計(HCD)の4つのプロセス
  3. 人間中心設計(HCD)のポイント
  4. 人間中心設計(HCD)に認定資格はあるの?
  5. 人間中心設計(HCD)を学ぶには

人間中心設計(HCD)とは

人間中心設計(HCD)とは、ユーザー視点で仮説検証を繰り返すアプローチのことです。
「ユーザー」を開発の中心に据え、ユーザーの要求にあわせることを優先した課題解決法です。

2000年発行の日本工業規格「JIS Z 8530」では、「システムを使いやすくすることに特に主眼をおいたインタラクティブシステム開発の1つのアプローチ」と定められています。

このアプローチにより、ユーザビリティの向上に繋がるばかりでなく、顧客からの使い方などの問い合わせ数を減らすことが可能となり、工数削減にもつながる施策として注目を浴びています。

では、次にアプローチの手法を具体的にご紹介します。

人間中心設計(HCD)の4つのプロセス

人間中心設計(HCD)は、構想段階から顧客の要求を明確にし、その要求にこたえるものを設計します。
さらに、その要求に答えられているかの評価をします。
このプロセスを繰り返すことで、人間中心設計のアプローチを完成させていきます。

この内容は、アサインナビで開催されている過去のUXアプローチセミナーでも解説されている内容です。

1.利用状況の把握と明示

まずは、ユーザーの利用状況を徹底的に把握します。
アンケートや、インタビュー、フィールド調査などの手法を用いたり、現場をよくよく観察することで、課題や問題点を洗い出します。

2.ユーザーと組織の要求事項の明確化

次に、ユーザーが何を求めているのか、あるべき体験の設計をし、組織の状況や要求を踏まえて明確化します。
ユースケース図やペルソナ設計、カスタマージャーニーマップやシナリオといった手法を用いて時間をかけて実施します。

3.ユーザー要求を満足させる設計による解決策の作成

2で明確化したものを設計し、視覚化します。
ペーパープロトタイプやプロトタイプツールを活用し、モックアップを作成します。

4.要求事項に対する設計評価

デザインや設計案の妥当性を評価します。
ユーザビリティテストや、パフォーマンステスト、HCD評価チェックリストを活用し、様々な検証を行います。

人間中心設計(HCD)では、この4つのプロセスをユーザーの要求が満たされるまで繰り返します
要求事項へ適合している場合は、実装・生産へつなげます。

人間中心設計(HCD)のポイント

人間中心設計(HCD)のポイントとなるのが、現場をよく観察することだと言われています。

使いやすさやユーザーの価値は、人や目的により変化します。
ユーザーにヒアリングをしたところで、すべてを網羅することは難しいものです。

知っていることを言語化するのが難しかったり、そもそも自分が欲しいものが何かわからなかったり、想像するのにも限界があります。
ヒアリングだけで要件を満たすことは不十分なのです。

人間中心設計(HCD)のアプローチでは、現場でユーザーをよく観察し、その周りで何が起きているのか本質的な課題を見つけ出すことが重要だと言われています。
ユーザー観察のために、十分な時間をさくことが必要となります。

人間中心設計(HCD)によるアプローチでは、このポイントを押さえて4つのプロセスをまわしていく必要があります。
しかし、実際に組織で運用していくために具体的に何から始めたらよいのかわからないという方も多いかと思います。
その場合は、経験のある人材に相談してみるのも1つの方法です。
人間中心設計(HCD)には、専門家としての認定資格が存在します。
その認定専門家が、「特定非営利活動法人 人間中心設計推進機構」のHP内で公開されています。

人間中心設計(HCD)の認定資格とは

人間中心設計(HCD)には、特定非営利活動法人 人間中心設計推進機構が認定する資格があります。
5年以上の実務経験が必要とされる専門家と、実務経験2年以上のスペシャリストの2段階の資格となっています。

試験に合格して認定されるというものではなく、過去に取り組んだ人間中心設計やユーザビリティの活動実績を申請書に記載し審査されます。
申請書類には、プロジェクト記述書やコンピタンス記述書、論文・著作物や作品、成果物の提示が求められます。

過去の認定者を見ると、エンジニアやデザイナーだけでなく、マーケターや研究者、テクニカルライターの方などもいらっしゃるようです。

人間中心設計(HCD)を学ぶには

人間中心設計(HCD)の資格を取得するためには、書類に記載できる実務経験が必要となりますが、決まった座学は必要ありません。

現在認定されている方々も、セミナーや書籍を中心として知識を習得し、実践を繰り返している方が多いようです。
おすすめの方法をご紹介いたします。

書籍を読む

人間中心設計(HCD)について解説されている書籍では、先述の「特定非営利活動法人 人間中心設計推進機構」により企画編集されている「HCDライブラリー」シリーズがおすすめです。

2018年5月現在、「人間中心設計入門」、「人間中心設計の基礎」、「人間中心設計の海外事例」、「人間中心設計の国内事例」の4冊が発行されています。

豊富な事例を元に、その基本的な概念からマネジメントの手法など広く解説されています。

セミナーに参加する

特定非営利活動法人 人間中心設計推進機構をはじめ、認定の専門家やスペシャリストが講師を務めるセミナーが開催されています。
無料のものもありますので、人間中心設計(HCD)について知りたい方は参加してみてはいかがでしょうか。

セミナーに参加をすることで、人間中心設計(HCD)の専門家やスペシャリストと直接話をする機会を得られます。
場合によっては、その専門家に仕事を依頼し一緒に実践してもらうことで知見を得ることも可能です。

勉強会なども開催されているようですので、ご興味のある方はこまめに開催日をチェックすることをおすすめします。

デジタルシフト人材の育成をサポートするアサインナビでも、UXアプローチに関するセミナーを開催しております。
また、ご参加いただきました方には、勉強会のご案内も差し上げております。
アサインナビセミナー情報より、日程をご確認ください。

過去のUXアプローチセミナーより、セミナーの内容や様子をご確認いただけます。

ご興味をお持ちの方は、是非ご参加ください。


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