最先端のCRM情報~日本人初のMicrosoft Dynamics CRMのMVPで「プラットフォーム型CRM(xRM)」の第一人者が語る~


日本人初のMicrosoft Dynamics CRMのMVP(Most Valuable Professional)で「プラットフォーム型CRM(xRM)」(Customer Relationship Management:顧客関係管理)の第一人者であるフューチャーレイズ株式会社の松原 晋啓様に最先端のCRMのお話を聞かせていただきました。

~アサインナビ会員様へのはじめてのインタビューです。ぜひご覧ください!~

- 松原様プロフィール
ソフトウェア開発会社に入社し、アクセンチュアでJava、.Netのエンジニアを経て、インフラジスティックスの日本法人を立ち上げに携わる。そこで日本人初のMicrosoft Dynamics CRMのMVPを受賞したことをきっかけにMicrosoftに籍を移す。その後、ツールの導入だけでなくCRM全般を推進することでお客様のビジネスを成長させる機会を求めEYアドバイザリーへ転職。CRMチームのマネージャーとしてCRM全領域に加え、公共チームのマネージャーも経験。現職のフューチャーレイズではCRMチームのリーダーとBI(Business Inteligence)チームの副責任者を担っています。また一方でアグリビジネスコンサルタントとしても活躍している。

- 松原さんから見たCRM領域のトレンドを教えて下さい。

このインタビューを読まれる方にはIT系の方が多いということなので、まずはソフトウェアのお話からさせていただきます。総合CRM製品としては、大きく分けるとプラットフォーム型とパッケージ型に分けられます。プラットフォーム型というのは、いわゆる開発を伴わずに設定のみで顧客にあった機能を実現できるものです。
プラットフォーム型としては、Salesforce.comとMicrosoft Dynamics CRMが二強といえます。それ以外の選択肢はほぼ無いですね。プラットフォーム型以外だと、Siebel 、Zoho CRM、SugarCRMなどが上げられます。しかし、やはりプラットフォーム型が多くのお客様に選ばれている傾向にあります。

- Salesforce.comとMicrosoft Dynamics CRMではどのような違いがあるのでしょうか。

Salesforce.comは立ち上げ当初からクラウド主義であり、プラットフォーム型を志向しており、現在の時流にのって勢いがありますし、製品としても非常にできが良いです。機能が充実しているというのと勢いがあるとうい自信からか、価格が高めではあります。それから、プロモーションが上手いので、CRM製品を導入しようとする企業は必ず製品選定にSalesforce.comを入れるようになっていますね。特に、クラウドを使うことをルールにしているような企業では第一の選択肢として上がってくるでしょう。

Microsoft Dynamics CRMは、クラウドでもオンプレミス(顧客の設備に導入するタイプ)でも提供できるのは一つの違いです。やはり規模の大きい企業になってくるとオンプレミスの方が価格のみならず、総合的に考えてリーズナブルになります。Salesforce.comの顧客はユーザー平均数が10~20であるのに比べて、Microsoft Dynamics CRMでは50~100ユーザーが平均であることも、そのあたりに表れているのかもしれません。また、Microsoft Dynamics CRMはMicrosoftの製品というだけあって、ExcelやOutlookといったMicrosoftのOfficeスイートとの連携が非常に充実しています。
もちろんSalesforce.comでも、データをダウンロードしてExcelで使うことなどはできるのですが、それを更に分析用Excelにコピー&ペーストするということがよく発生します。
Microsoft Dynamics CRMでは、分析用のExcelにそのままデータを流しこむことができ、分析結果のグラフが自動的に更新されるというようなことまで可能です。会社としてシステムを導入していても、担当者レベルではExcelを活用するというのは避けて通れないのが現状ですので、こういった使い方が求められることが多いです。
また、スケジュール管理を別のシステムで行っている会社は多いと思うのですが、SFA(Sales Force Automation)を使用していると別途SFAにもスケジュールを入れる必要が出てきます。Outlookでスケジュールを管理しているのであれば、Microsoft Dynamics CRMを使うとシングルインプットで済むのは利点でもあります。現時点ではMicrosoft Dynamics CRMの方が顧客の要望にマッチしているケースが多いと私は思うのですが、知名度が低く、CRM製品を導入する企業の検討の俎上にものらないことも多いのです。良い製品だからもっと普及させていこうと思っています。

- CRMのトレンドという意味ではシステム導入の次の段階に来ているように思うのですが、システム導入の次に考えるべきこととはどんなことなのでしょうか。

先程もお伝えしたとおり、CRMのシステムはあくまでもツールでしかありません。システムを導入したとしても、それを使って良い変化を起こせるかどうかは別の話です。よくERPなどの基幹系システムではメソドロジー、ベストプラクティスを作って、それを横展開するということが行われてきました。しかし、CRMに関して言うとベストプラクティスは役に立ちません。何故かと言うと、企業によってCRMを所管する組織が違いますし、名前を冠している組織と実態が違うことも多いですし、取り扱っている製品、私たちはエンドユーザーと読んでいますがお客様のお客様など、企業固有のものがあまりにも多いのです。CRMはトップダウンだけでもだめですしボトムアップだけでもダメなのです。お客様を企業体として見るだけでなく、その中にいる人をよく見て、よく理解して臨む必要があります。

- 言うは易しですが、実践するのは難しいですよね。

その通りです。
誰が何を望んで、最終的にどのような結果を出したいと考えているのかを徹底的に考えます。また、どのように使ってもらうかという点も極めて大事です。会計系やSCMなどは使わなければ業務が回らないのですが、CRMは使わなくても通常業務が回ってしまうという特性があります。CRMを成功させるためには、どれだけ使ってもらえるように意識を変えられるかがポイントです。

経営陣の方にも、現場の方にも働き変えて、意識を変えていく必要があります。
意識を変えるためには、使うことによってユーザー一人ひとりにどんなメリットがもたらされるのかを理解してもらうことが肝要です。CRMは、経営陣向けのレポートのために現場が苦労してデータを入れているというイメージがあるかもしれませんが、それは一世代前の話です。現在では現場の人たちが日々のオペレーションに使えるデータを取り出せることが大きなメリットになってきています。そういったことを理解してもらわなければ、意識が変わることはありません。また、ある程度は強制力を働かせるため、人事評価に含めることも有効です。ただ、マイナス評価をつけるためのものでなく、使うことが有効だから使うことを評価するという形でなければなりません。そうでなければ、よりネガティブなイメージを与えてしまいます。

- なるほど。テクニカル面のスキルだけでなくてソフト面のスキルが重要になってくるのですね。今後のCRMの展望をどのように見ていますか。

CRMの形はなくなってくるのではないかと思っています。
というのは、CRMは様々なところで必要になり、至る所で活用されるのが当たり前な世界になってきます。もちろん分析も必要になるので、BIも同時に扱う必要があります。5~6年前からSelf-BIと言われてきています。現場の人が当たり前のようにCRMを活用し、データ分析をするようになります。その意味で、ExcelはSelf-BIのツールとしてはかなり良くできているものだと思いますよ。なんでも大きなシステムで解決しようというのが無理はあります。現場の人たちがみんなデータサイエンティストにならなければならない時代になってきています。

- 最後に読者の方にメッセージをお願いします。

ITエンジニアがどんどん減ってきていることを懸念しています。
クラウドを使ったアプリケーションやシステム開発を簡単にするツールがどんどん進化してきています。そうすると、現在ITエンジニアと呼ばれていても本当のITエンジニアとは呼べないアドミニストレーターやツール屋さんが多いのが現状です。このまま行くと企業のIT部門だけでこと足りること時代になるでしょう。
それでは何が必要かというと、先ほどあげたようなソフトスキルも含めた様々なスキルです。私たちはVersatilistと呼んでいますが、スペシャリティを持った多才な人たちが重要なポジションを占めることになります。これだけしかできないというのではなく、お客様のビジネスに貢献するために必要なことが何なのかを把握し、支援できるように自らを磨いておくことが求められていると思います。

- 貴重なお話、ありがとうございました。