経営コンサルタントに求められる4つの基本スキル

資格だけでは務まらない!?経営コンサルタントに必要なものとは?

経営コンサルタントになりたいという夢を抱き、中小企業診断士の資格を取る人は大勢います。中小企業診断士は、企業の現状について診断するための資格。果たしてそれだけで、経営コンサルタントとして活躍できるのでしょうか?今回は、経営コンサルタントについて解説します。

中小企業診断士が意味するものとは?

中小企業診断士は、経営コンサルタントの資格としては、唯一の国家資格です。
その名前の通り、企業の現状の分析と対策を講じた結果の分析に主眼がおかれます。企業を改善していこうというのであれば、現在どのような問題点を抱えているのかを洗い出し、施策を行った結果を見て、どのような変化があったのか、どのような状態になったのかを分析するのは、基本中の基本です。
そのため、経営コンサルタントとしての仕事をするのであれば、もっておいた方がよい資格といえるでしょう。

ただし、肝心な「どう改善していくか」というコンサルティングの部分は中小企業診断士の“診断”には含まれません。
現状を知り、対策した結果を確認できるだけでは、経営コンサルタントとして活躍することは難しいです。経営コンサルタントになるためには、資格だけでは実践は難しいと言われるのは、その点にあります。

経営コンサルタントに求められるスキル1 業界の知識

資格だけでは務まらない!?経営コンサルタントに必要なものとは? - 経営コンサルタントに求められるものとは?

経営コンサルタントをしていこうというのであれば、まずは業界の知識が必須となります。
業界の知識が深ければ深いほどよい専門的なコンサルティングが出来る可能性が高くはなります。
しかし、クライアントは他社ではどうやっているのか?一般的にはどうなのか?といった他社との比較を知りたがることも多いです。
経営コンサルタントとして、幅広く多くのことを知っていることが役に立つ場面は多いでしょう。自分が専門とする業界、領域を定めるまでの間は、幅広く多くの知識を得るのが得策です。

ただ、業界知識を身に付ければ経営コンサルタントになれるわけではありません。

経営コンサルタントに求められるスキル2 IT領域の経験

ITの領域での経験、特に企業向けシステム導入の経験を積むことは、経営コンサルタントになる一つの大きな道といえます。
この道から経営コンサルタントを目指す場合、まずはエンジニアとしての経験を積む必要もあります。最初は、あたえられた設計書を元に地道にプログラミングをしていくだけかもしれませんが、その経験も後で活きるときが必ず来ます。
技術を知っていることは、経営コンサルタントとしての強みとなり、差別化のポイントとなるはずです。

また、プログラミングをしているということは、顧客の業務の一部を作り上げていることにほかなりません。
ただ淡々とプログラミングをこなすのではなく、なぜこのような設計になっているのか、クライアントの業務はどうなっているのか、経営者はこの会社をどのように経営しようとしているのかを、常に考えることは経営コンサルタントになるにあたって大きな財産となります。

このような経験を積み上げ、より上流の工程に携われるようになると、システム開発の全体像をつかむことができだけでなく、クライアントの業務や経営を理解できるようになります。

大手SI(システムインテグレータ)企業で働く場合、このような経験ができるようになるまで非常に時間がかかります。
大手企業の下請けだけをやっている企業では、上流の経験を積むことは永遠にできないかもしれません。
クライアントと直取引をしている小規模から中堅の企業であれば、比較的早く全体の経験ができるでしょう。
だからと言って経営コンサルタントになるには大手SI企業が適さないというわけでもありません。大手SI企業で働いていれば、クライアントも大手企業です。
大手企業相手の経営コンサルタントになるのであれば、時間はかかるかもしれませんが大手のSI企業で働くのも一つの手といえます。
企業の規模に関わらず経営コンサルタントになろうと考えているのであれば、小規模から中堅の企業で働く方が近道だといえます。

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経営コンサルタントに求められるスキル3 インタビューテクニック

コンサルタントの仕事は、経営コンサルに限らず、聞くことから始まると言われています。
特に、戦略立案するためには確かな情報は必要不可欠。
情報収集の目的は、クライアント企業の経営状況の把握、つまりは問題の本質を突き詰めることです。
そのためにコンサルタントは、まず聞くことから始めます。

クライアントのところへ行き、あらゆる立場の人から情報を収集していきます。
経営者はもちろん、ミドル層、現場で働く人まで幅広くインタビューしてまわります。
会社の内側だけでなく、提携する関連会社や顧客など、外側の人がクライアントのことをどう見ているのかなどの情報も集めるのがベスト。
コンサルタントが戦略を立案するときは、確かなデータを元に行います。そのために情報収集に漏れがあってはならないのです。
間違ったデータや漏れがあっては、正確な判断と決定は下せません。情報収集は戦略立案の最も重要な仕事と言えるでしょう。

ところが、そう簡単には有益な情報は入ってきません。
「会社の問題や課題は何だと思いますか?」と尋ねたところで、誰もズバッと正解など答えてくれません。
仮に既にわかっているならばコンサルタントを雇う必要もないでしょう。

ある人は「ここが問題だ」と言えば、またある人は違うところを指摘したりするものです。
制作部の人間が「営業が商品を売ってこない、セールス力に問題がある」と言ったかと思えば、営業は営業で、「良い商品を作ってくれない制作部の技術力に問題がある」と言うことはよく起こる話です。
それらのどれを信じていいのでしょうか。
本質的な答えを引き出すことは困難なことです。そもそも人には本音と建て前があります。
そう簡単にはオープンに話しをしてはくれないものなのです。逆を言えば、すぐに手に入るような情報は、表面的で、疑いを持った方がいいかもしれません。

それでは、最大限に情報を引き出すためにどうするかというと、仮説を立て、ABテストを繰り返していくという方法があります。
ABテストとは、異なる2つの情報を比較してどちらが正しいか、もしくは一つの議題に対する答えがイエスなのかノーなのかという二者択一から、答えを選んでもらい、その答えを元に検証していくというものです。

二択にすることで、答える側も回答しやすくなります。
「私は、こう考えているのですが、いかがでしょうか?」といった具合に仮説を立てて、意見を聞くと、より具体的で信憑性の高い意見を多く引き出すことができるのです。

「会社の問題は何か?」といった漠然とした質問よりも、より具体的なテーマを与えることで、考えるべき範囲が絞られ「あーでもない。こーでもない」と意見しやすくなるからです。そうして得られた情報を元に、また仮説を立てヒアリングをしていきます。この繰り返しによって真の問題が何かを突き詰めていくのです。

経営コンサルタントに求められるスキル4 プレゼンテーションスキル

資格だけでは務まらない!?経営コンサルタントに必要なものとは? - 会社の経営者を動かすために必要な資質とは?

コンサルタントが、クライアントから依頼を受けて、当面のゴールとなるのがプレゼンテーションです。
プレゼンテーションの場で、考え抜いた戦略を提案し、実際に推し進めてもらえるようゴーサインをいただくことが、ひとまずの目標となるでしょう。
そのためにもプレゼン能力は必須です。伝える力がなければ、どんなにすばらしい戦略であっても実行に移る決断を下すには至りません。

良いプレゼンをするには、何をプレゼンするかというコンテンツの中身、充実したコンテンツを作るための情報収集力、分析力、分析した結果を論理的に解説する構成力、そして人にわかりやすく伝える力と多岐にわたる能力が必要とされます。また、伝える際には、対話力も問われるでしょう。

コンサルタントにとってプレゼン能力は必須です。伝わるプレゼンテーションをするための3つのポイントをご紹介します。

プレゼンテーションのポイント

  1. 文字数は多すぎない
  2. プレゼンテーションの際、パワーポイントなどで作ったスライドを使用することがあります。
    素人が作ったスライドをみると、やたらと文字数が多いものがあります。受け手に訴求力があるのは、多くても1ページに60文字ぐらいまででしょう。
    あくまで目安ですが、1行当たり10~15文字で5行ぐらいでしょうか。
    それ以上となると、見ること自体に拒否反応を起こします。あれもこれもと詰め込みたくなる気持ちはわかりますが、必要ならば、紙資料を配布した方が効果的です。言うべきことは簡潔にまとめることが、伝わりやすくなるポイントです。

  3. 全体の時間配分に注意する
  4. プレゼンテーションの時間配分も考えなければいけません。
    ほとんどのプレゼンテーションには時間の制限があります。
    受け手の質問などにより、会議が延長してしまうことも度々あります。もちろん有意義な会議となれば問題ありませんが、ダラダラと長いだけなのでは良いことはありません。こういう場合のほとんどが、次回への持ち越しという結果となります。そのためにも、資料の簡潔化を図る必要があります。
    せっかく集めたデータを詰め込みたくもなりますが、ここでも詰め込みすぎるのはよくありません。プレゼンテーションの目的は、提案した戦略に決定を下してもらうことです。目的を失ってはいけません。

  5. 相手の反応を意識する
  6. クライアントの前でどうやって話すかもポイントです。
    声のトーンや大きさ、抑揚、堂々とした姿勢など、立ち振る舞いも大事ですが、相手が退屈となっていないか、反応を意識することが重要です。
    内容が、ちゃんと伝わっているか、理解しているかなど、相手の様子を観察できるようになると、より伝わるプレゼンとなります。
    しかし、こればかりは場数がものを言います。慣れてくると、相手の理解度に合わせて話す内容やペースをコントロールできるようになります。

プレゼンテーションの資料を作成するに当たり、デザイン能力に不安がある場合には、テンプレートなどがインターネット上にたくさん公開されているので、選んで使用することはできます。しかし、その内容を分かりやすくまとめ、表現するテンプレートはありませんので、構成力や表現力、文章力がないと務まりません。

経営コンサルタントのスキルまとめ

経営コンサルタントは、色々な資質を求められるため、大学を卒業してすぐに就けるような職業ではないと言えるかもしれません。
経営コンサルタントを目指すのであれば、業界知識を深め、プレゼン力を始めとした様々なスキルを磨きながら、世の中の動向に敏感であり続ける努力をすることが大切といえるでしょう。

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