人生の一大イベント「結婚式」。結婚式の準備について友人たちに聞いたところ「大変だけど楽しかったよ~!」という感想が最も多く、筆者も「一生に一度のことだし楽しんでやろう!」と思っていました。ここでは、コンサルタントとして働く筆者が、結婚式を通じて学んだ「プロジェクト運営」について4回にわたりご紹介します。
幸せなイメージの「結婚式」。実際は・・・
いざ準備を始めてみるとタスクの洗い出しから納期設定、スキルレベルがわからないメンバーとのチームワーク、進捗確認・・・などなど、結婚式の準備はまさにプロジェクト運営そのもの。式を挙げる側はプロジェクトマネージャーであり、ベンダー(結婚式場)を使ってシステム(式&披露宴)を開発し、ユーザー(列席者)に提供することになります。
しかも両親×2(プロジェクトオーナーないしスポンサー)に対する報告義務も発生するという面倒くさい状況が数か月続くわけです。初めての夫婦共同作業はウエディングケーキ入刀だと子供のころから刷り込まれていたのに、現実はそんな甘いものではなかった・・・と痛感することになります。
準備を始める前に決めたいこと
「どのような結婚式を挙げたいか」というイメージはカップルによって違います。場合によっては新郎新婦の間でイメージが違うこともあります。例えば「親族と友人数名だけ呼んでアットホームにやりたい」と思っている新郎と「幸せな私を見てもらいたい!友達をたくさん呼びたい!」と思っている新婦がいたとします。このように、結婚式のイメージが合っていないと準備を進めるうえで必ず衝突するタイミングが訪れます。
新婦:「広い会場がいいから、ホテルがいいな~♪」
新郎:「いや、小さいレストランでいいでしょ」
~このあとケンカ~
新婦:「カラードレス着たいし和装もしたいからお色直し2回やりたい!」
新郎:「それだと中座の時間が長くなるから1回でいいでしょ」
~このあと大ゲンカ~
このように、せっかく自分たちのお祝いの場について準備を進めているのにもかかわらず、ケンカが多発し「こんなに衝突する人と結婚して、この先うまくやっていけるだろうか」と不安が膨らみ婚約破棄になるパターンも・・・。このような最悪なことにならないように、準備を始める前に最も大事なことは「目的を明確にする」ことです。
目的を明確にするメリット
自分たちは何のために結婚式を挙げるのか、ということを新郎新婦できちんと決めておけば準備途中で衝突しそうになったときに原点に立ち返って冷静に話し合うことができます。自分たちの晴れ姿を大勢に披露するため、親を喜ばせるため・・・、目的はそれぞれなので正解も不正解もありません。新郎新婦で最初に合意しておくことに意味があるのです。
システム導入プロジェクトでも同じことが言えます。
何のためにシステムを導入するのか、その目的について事前に関係者間で合意をとっておかないとどこかで衝突が起きます。経営層と現場社員の間で目的に対する認識に乖離があり、経営層の考える目的に沿って決まったシステムの仕様に現場社員が拒否反応を示してプロジェクトがうまく進まなくなる・・・よくある話です。
ちなみに筆者は”結婚式を挙げる目的”を「これまでお世話になった人たちへ感謝の気持ちを伝えるため」と合意していたおかげで、会場はおもてなしサービスで有名なレストランに即決、どこにお金をかけて(例:ゲストに出すお料理の品質は妥協しない)どこを安く済ませるか(例:会場装花・ドレスは極力低コストにする)についても衝突することなく実にスムーズに話は進みました。
こうして順調な滑り出しを見せた結婚式準備ですが、細かいタスクに落ちてきたところで色々と問題が発生!
次回は、タスクと役割分担についてご紹介します。