コンサルタントである筆者が、自身の結婚式を題材にプロジェクト運営について考える「結婚式という名のプロジェクト運営について」シリーズ。いままで3回に渡り、目的を明確にすることの重要性やタスクと役割分担について、ステークホルダーの意向をくみ取る必要性について解説してまいりました。
今回は第4弾。”外部メンバー(結婚式場のプランナー)とのやりとり”について考えます。
結婚式準備は基本的に、自分たちが式・披露宴を執り行う結婚式場のプランナーに手取り足取り教えてもらいながら数か月の間準備作業を進めることになります。その話に入る前にまず、筆者たちが結婚式場を決めた背景についてお伝えします。
筆者たちの場合、結婚式をあげる目的は「これまでお世話になった人たちへ感謝の気持ちを伝えること」であるため、出席者に提供するサービスに妥協はしたくないこと、自分たち主体で企画をしたいため料理以外のものは全て持ち込めることが結婚式場に求める条件でした。
また、出席者の中に車いすを使用している方がいらっしゃるので、車いすで入れることも大事な条件でした。あとは、80名が着席できる広さがあるかどうかです。これらの条件についてブライダルフェア(会場見学やお料理を試食させてくれる場)で担当してくださった営業担当に伝えたところ、こちらの目的はすぐに理解してくれ、サービスの品質には自信を持って提供すると力強い返事を頂きました。
そのレストランはお料理の素晴らしさと”おもてなしサービス”で有名であることを知っていたので、営業担当の言葉を信じることができました。しかも車いすの方には専属でひとりスタッフをつけることのこと!会場の広さは筆者たちから見ると若干狭く感じたのですが「80名であれば死角を作らず、出席者全員から高砂が見えるように配置できます」と言われ、この会場に決められない理由はひとつもない!とその場で即決。レストランが持っているブランド力と営業担当が与えてくれた安心感はかなり大きかったです。
結婚式当日まで3か月を切った頃、営業担当からプランナーを紹介されました。はきはきと話すしっかりした方で、とても良い印象でした。初回の打ち合わせで筆者が作成したタスク一覧を持参したところ「来月挙式する方よりも準備が進んでいますね!」と言われつつ、おおまかな準備スケジュールを確認して打ち合わせは終了。こちらがわからないことは質問をすればきちんと答えてくれるか、すぐオフィスに確認してくれるので頼りがいもありました。
しかし、会場レイアウトの話を進め始めるとやりとりに問題が発生しました。
2回目の打ち合わせで会場レイアウト案を確認したところ、柱で高砂が見えない席があります。「営業担当からは死角を作らず席を配置できると聞いたからこのレストランに決めた」と伝えたところ、「そんなことを営業が言ったのですか?」と驚いている模様。怪しいなと思いつつも、今更会場変更はできません。
その場で筆者たちも必死に考え、一般的には高砂から一番遠くに座ってもらう親族を手前に配置するレイアウト案を出し、口頭で伝えたうえで「なんとかこちらの意向に沿った良いレイアウト案を考えてください」とお願いしました。そこから数日かけてプランナーが新たに2つの案を考えてくれ、レイアウト図をメール送ってくれました。しかし、前回の打ち合わせ時に口頭で伝えたこちらの案は2つのどちらにも反映されておらず、なぜか新婦側の出席者ばかりが正面を陣取っているレイアウト案もあり、新郎は「こっちの話を聞いていなかったのか?」と怒り心頭。筆者は新郎をなだめつつ、プランナーとの認識のズレに正直驚いていました。
こちらとしてはわかりやすいように伝えたつもりだし、プランナーはきちんとメモもとっていたのに・・・相手はプロだからと任せれば安心だと思っていたことを反省しました。このことを機に筆者から「大事なことは口頭だけでなくメールで記録に残す形でやりとりさせて頂いた方が良いかと考えております。ご面倒かと思いますが、ご協力ください。」とプランナーにお願いし、打ち合わせの後にはこちらからメールで議事録を送ることにしました。
情報共有のルールを決めるとか、議事録を自分から送っていたことを思うとやはり職業病でしょうか(苦笑)しかし、あのまま口頭伝達を続けていたらもっと問題が発生していたはずです。プランナーの方から情報共有に関するルールを提案して欲しかった、という本音もありましたが、プロジェクトマネージャーは自分たちなので提案を待っているだけではダメ。主体性を持って準備に関わらなければなりません。