コンサルタントである筆者が、自身の結婚式を題材にプロジェクト運営について考える「結婚式という名のプロジェクト運営について」シリーズ。今回は第2弾です。前回は“目的を明確にする重要性”について解説いたしました。今回は”チームメンバーとの役割分担”について考えていきたいと思います。
タスク一覧を作成し割り振りを
結婚式の目的が決まり、式場が決まると細かいタスクに落ちてきます。ここからいよいよ、チームメンバー(プレ夫婦もしくは夫婦)の共同作業が始まります。
一般的に理想の結婚式を思い描いているのは新婦の方だと思いますが、我が家は逆でした。新郎が結婚式の企画は基本全て自分でやりたいと希望し、「誰がやった結婚式よりも素晴らしいものにするぞ!」と鼻息荒く意気込んでいる様子。しかし話を聞くと「そりゃ全部手作りでできたら素晴らしい式になりそうだけど、自分たちで準備できるのかな?チームメンバーは筆者たち二人だけなのに・・・」と疑問に思う内容もありました。
そこで、どれほどの作業が待ち受けているのかを新郎と共有するため、仕事でのプロジェクト開始時と同じようにタスク一覧を作成しました。印刷した一覧をふたりで見ながらタスクの振り分けをし、それでもなお新郎が「大丈夫、自分の担当分は自分でできるから」と筆者の考えていた一部外注案(プロフィールビデオや席次表は専門業者にお願いする案)を受け入れなかったため、方針は変えずに進めることに。各タスクに納期を設定し、最後の1ヶ月はバッファと考え、可能であればなるべく前倒しで進めていくということも合意しました。この時点で筆者は「これで役割分担もバッチリ決まった。あとは粛々と作業をするのみ!」と良いスタートを切れたことに満足していました。
情報共有の重要性
プロジェクトワークで重要なことのひとつにメンバー間での情報共有があります。同じプロジェクトルームにいる環境でさえも情報共有がうまくいかないことがあると思いますが、筆者たちの結婚式準備は違うプロジェクトルーム(同棲していなかった)で進めていたため、筆者はしつこいくらいにメールや電話で進捗報告をしていました。しかし、新郎からは報告があまりあがってきません。こちらから確認すると「まだやってない」という回答が多い。
「大丈夫?そのタスクの納期、ちゃんと認識してる?そろそろ手をつけないと間に合わないと思うよ?」「わかってるよ、ちゃんとやるから」このやり取りを何度したことか・・・。結婚式準備は出席者人数がほぼ確定する2か月前くらいから本格的に忙しくなりますが、その時点での新郎タスク進捗の遅延状況から「これはマズイ」と自らタスクを巻き取り、新郎がギブアップしたときに発動させるためのコンティンジェンシープランまで裏でこっそり立てていました。この頃には最初に決めた役割分担もあまり関係なくなっており「なんで私が夜中まで作業しなきゃいけないわけ?!」と、新郎への不満爆発。
新郎は「自分でできるって言ってるのに、なんで信用してくれないわけ?!」と、各タスクに筆者が口出しすることに不満爆発。最後の1ヶ月は仕事とプライベートの区別がつかないほど、全てのやり取りが事務的になっていました。淡々としたテンションで、「あなたにとっての納期っていつなの?まさか式当日じゃないよね?」「普段仕事でもこんなにギリギリでやってるわけ?それ問題だと思うけど。」と、もはや結婚式準備とは関係ないところまで詰め寄ったこともあり、今思えば所謂”男のプライド”を傷つけまくっていました。
プロジェクトマネージャーは1人がよい
なんとか前日に準備も完了し無事に当日を迎えた筆者たちですが、プロジェクトの役割分担及びチームワークはうまくいったとは言えない結果になってしまいました。原因の一つはお互いプロジェクトマネージャーの座を譲れなかったこともあると思います。筆者がうまく新郎を立てながら”裏プロジェクトマネージャー”として動けたら良かったのかなと、今は反省しています。
後日新郎に確認したところ「もうこの人とはやっていけない」と準備中に思ったことは何度もあったそうです。ちなみに筆者も何度も同じことを思いましたが、結婚前にそれくらい思って相手とぶつかった方が結婚した後うまくいくそうです(本当かな?)。ちなみにすべてが終わった今、おかげさまで何事もなかったように仲良く過ごしています。ただひとつ言えること。もう二度と結婚式準備は自分たちでやりたくありません!これから結婚式を挙げるカップルには、それなりにお金を使って外注することを強くお勧めします。
まだ続くこのシリーズ、次回はステークホルダーの意向についてご紹介します。