仕事をしていると、部下から仕事の悩み相談を受ける場面もあることでしょう。その際に良くない聴き方をすると、部下との心の距離が離れるばかりか、メンタルヘルスの不調をもたらします。そこで今回は効果的な仕事の悩み相談の受け方と注意点を現役カウンセラーがお伝えしていきます。
仕事の悩み相談を受けるシチュエーション
まずは仕事の悩み相談を受ける際にNGなシチュエーションから紹介していきます。
相談を受ける際に、どのような場で受けるかが重要であることをご存知でしょうか。
「話があります」「気になることがあるので相談に乗ってもらえませんか」など、部下から仕事の悩み相談を持ち掛けられ、その場で聴くのはNGシチュエーションです。
その理由は極めてシンプルです。
それは、職場で仕事の相談を受けると情報が同僚や他の後輩に筒抜けになる可能性が高いからです。
仕事の相談を持ち掛けられたら、会議室や静かな別室に移って話を聴きましょう。
相談を持ち掛けるということは、何らかの事情によって悩んで困っているわけです。自力で解決が可能であったら、そもそも相談をしないことでしょう。そのことも踏まえて、静かなで他の人に聞こえない場所で相談に乗るのがベターです。
もし社内で静かな環境や別の個室が無いようなら、近くのカフェや喫茶店に移るとよいでしょう。それによって秘密を保持でき、部下も安心して話ができます。
なお会議室が無断で使用できないときには、業務指導や会議など適宜理由をつけて借りましょう。それによって部下のメンツも保つことができます。
部下の心が離れる仕事の悩み相談のNGな聴き方3選
続いてNGな聴き方トップ3を紹介します。
1つ目は価値観の押し付けです。
上司として部下の話を聴き、甘さを感じることもあることでしょう。「まだ仕事を分かっていない」「その考えは甘い」など言いたくなるかもしれませんが、グッと堪えて話を聴くことをおすすめします。
それは思いのままに指摘したら、この人に話しても無駄だと部下は心を閉ざしかねません。自分の価値観を押し付けたところで、何もプラスにはなりません。そのことを心にとめて、まずは部下の言い分を聞くようにしましょう。
2つ目は話をさえぎることです。
話が冗長で取り留めないときには、話を途中で遮ってアドバイスをしたくなるかもしれません。しかし、それをすると部下はちゃんと聞いてくれないと感じ、信頼関係が揺らぎます。
話が分かりにくかったとしても最後まで話は聞いてあげましょう。ひと段落ついた段階で、要約をしてフィードバックをすることで主旨や要点を掴むことはできます。
3つ目は聴く態度の悪さです。
腕組みや足組みをしたり、目線を合わせようとしなかったり、生返事をしたりしていませんか。腕や足を組んだ状態は威圧感を与え、拒絶の姿勢を意味します。
相手は部下であっても同じ人間です。聴く態度が悪いと、ちゃんと聞いてもらえないと感じ、次回以降相談するのは止そうと心を閉ざしかねません。相手を思いやり、聴く態度の悪い点は改めましょう。
仕事の悩み相談をされた時の効果的な聴き方3選
聴くときのポイントとしては大きく3つです。
1つ目は、あいづちです。
ただ黙々と聞いていては、相談者はちゃんと聴いてくれているのかと不安になるものです。そこで会話のリズムに合わせてあいづちを打ちましょう。
アップテンポのときには早めのあいづちを、深刻な話やじっくり聞いてあげる必要のあるときにはゆったり深くあいづちを打ちましょう。状況に合わせて使い分けることで、ちゃんと聴いてくれていると相談者は感じます。
2つ目は、ちゃんと話を最後まで聞くことです。
話を聴いていると、途中で遮って話したくなる時もあるでしょうが、じっと堪えて最後まで聞きましょう。そうすることで、この人なら信じてもよいと感じ、安心して話ができます。それは精神的安定をもたらします。
上手く話せなくて困っているなら、急かすのではなく、優しく促してあげましょう。待つ姿勢を示したうえで、質問を効果的に使うことで、相手の信頼を勝ち得ることにもつながります。
3つ目は、目を見て聴くことです。
視線があらぬ方向を見ていたり、下を見ていたりすると、相談者としては話を聴いてくれていないと感じるものです。
話を聴くときには、相手の目を見て話を聴きましょう。そうすることでしっかりと話を聴いてくれていると感じます。しかし、人によっては直視することは難しいと感じるかもしれません。その場合には、目と目の間を見るか、眉間を見るかのいずれかがおすすめです。
直接目が合うわけではありませんが、相談者としては目を見て話を聴いてもらえているように感じ、真剣に聞いてくれる態度に信頼度は向上させることができます。
仕事の悩み相談をされた時の対処法まとめ
いかがでしたでしょうか。一言、相談に乗ると言っても押さえておくべきポイントがあります。そちらを踏まえずに相談に乗っては逆効果になる危険性もあります。静かな環境で、相談者の話を最後までじっくりと聴き、目を見て聴くことで信頼関係を強化していきましょう。