管理職に必要な6つのマネジメントと成果を出すためのポイント

企業が生き残っていくためには高度なマネジメント能力が必要となります。マネジメントの中でも重要なのは人事だけではありません。目標達成のためのマネジメントやリスクマネジメントが必要です。管理職が十分なマネジメント能力を培うために必要なマネジメント能力についてまとめました。

管理職に必要なマネジメントの種類1 目標のマネジメント

マネジメント能力には、管理力や調整力、指導力や業務改善などの能力といった要素が含まれています。それらの能力を総合的に発揮して組織の目標や目的を達成し成果を上げることが要求されます。

つまり、組織が目標を達成するためには、目標を限られた条件の中で達成するための「目標マネジメント」が必要となるのです。
もし、目標マネジメントを行わずに目標達成をするということだけを掲げて仕事をし続けていたら、「運が良ければ」目標が達成できるかもしれませんが、多くの場合は道を見失い、やみくもに労力を浪費し、挙句に目標達成できないだけでなく、大きな損失を生むことになりかねません。

組織のマネジメントは、船が大海原から灯台を目標に航海するのと同様に、策定された計画に基づき、目標に向かった組織活動を推進し、成果をもたらすためのものです。

管理職に必要なマネジメントの種類2 人のマネジメント

「会社経営の究極の手段は人事である」とマネジメントの第一人者であるP・F・ドラッカー氏は言っています。ここにマネジメントに必要な能力の一端が見えてきます。

例えば、自分が部下を何らかの仕事に就けて責任を与えた時、その人が十分な成果を上げられないのであれば人事を行った自分が間違っているという考え方です。
そして、仕事に対して責任感を持って取り組む人が成果を上げられるようにすることが、マネジメントを行う者の責任だと言われています。それが、あらゆる意思決定の中でも人事が重要であると言われる所以なのです。

管理職として人をマネジメントするということは、その人材が十分能力を発揮し、成果をあげられるような環境をつくることなのです。
人それぞれの向き不向きを見抜き、相手の能力や特性を見極めて役割や責任を与えることが重要です。

個人の能力と組織の今後の在りかたによって判断をしなくてはならないところで、マネジメントを行う人間がチームメンバーを正しく見る能力が必要とされるところです。

企業の戦略にもよりますが、通常、小さな組織の中では、得意な分野を持ったものを最も力の発揮できる場所に割り当てることで、組織力が安定するまでの戦力化を行うことができます。

しかし、もし不得手な分野での役割を与えられた場合には、多様な仕事の経験や学びはできるかもしれませんが、個人のモチベーションは下がる場合が多く、組織力の強化には効果がない場合も少なくありません。人事のマネジメントがうまくいかなくなると、そのようなチームのモチベーション低下を引き起こすことになりかねないのです。

管理職に必要なマネジメントの種類3 学びのマネジメント

人は成長し変化していくものです。
何もしないで放っておけば、その能力は伸びないばかりかマイナス方向へと成長してしまう可能性もあります。
そこで、管理職は、部下の「能力開発」や「教育」の機会を与えることが重要となります。部下に主体的な取り組みを促進することで、成長しやすい環境を与えることが可能となります。

しかしながら、勉強や自己啓発をする機会があっても、自分から成長をしたいと思いながらも、行動に出ることができない人も多いものです。そういう人たちの能力を高めていけるように導くこともマネジメントの仕事です。ただ、勉強しろとか能力を開発しなさいということを言うのではなく、そういう活動ができるように環境をつくり、支援することが大切なのです。

マネジメントとしての教育を考えるときには、個人の人格や学ぼうとしていることを否定することなく、肯定的に支援することが必要です。単に仕事に関する知識を習得するだけにとどまらず、人間としての成長とモチベーションを作り出すことを一緒に考えていきましょう。

言われたことを言われただけ仕事をするような「作業員」ではなく、自らが熱意をもって仕事に打ち込むような人材を育成し、成果を上げることへのモチベーションを引き上げ、率先して問題を解決し、成果を出していく人材が組織の発展のためには必要なのです。

そのために、学びについてのマネジメントは、人材育成やストレスのコントロールなどのためにも重要であり、マネジメントに関わる者にとって必要な能力なのです。

管理職に必要なマネジメントの種類4 予算のマネジメント

人的なマネジメントの他にも、マネジメントを行うべきことはたくさんあります。
その一つが予算に関するマネジメントです。

何を行うにしてもお金は必要になりますが、それは有限の資源です。
そのために組織では予算が作成され、予算に基づいてお金が使われます。その資金が現在どれだけ使われているのかや、どのように使われ効果が上がっているのか、無駄な費用が発生していないのか、また、予算通りに仕事は進んでいるのかといったことを常に把握しておかなければなりません。

予算をマネジメントするには、日々の迅速で正確な資金の出入りや用途に関する分析をし、定常的な管理が必要になります。しかし、予算に基づいて現在の状況を管理するだけではマネジメントを行う者としては失格です。
その状況から分析を行い、今後の予測をすることが求められます

管理職に必要なマネジメントの種類5 時間のマネジメント

時は金なりと言いますが、時間は流れて行く一方で人の力の及ばないものです。しかし、時間は無限ではありません。そのためにスケジューリングを行い、時間をマネジメントします。

時間をマネジメントするには、何をいつまでにそのような形にするのかということを明確な形にしなければなりません。そのために作業を分解して流れをつかみ、いつまでに達成しなければならないかを一覧表にします。

ただし、この表は決して進捗表や工程表、日程表といったようなものではないことに気を付けなければなりません。

作業内容が明確になったら、それに基づいて時間計画をひとつの表にまとめるといった方法で時間のマネジメントを行います。もちろん、変更が発生すれば、それに伴って全体計画を見直すなどの作業を日々行わなければなりません。

管理職に必要なマネジメントの種類6 リスクのマネジメント

リスクのマネジメントは「リスクアセスメント」と「リスク対応」で構成されています。そして、リスクアセスメントは、リスクの特定、分析とリスクの評価で構成されています。リスクマネジメントは、想定される様々な危険による不測の損害や損失を最小の費用で効果的に処理するための考え方です。

リスクは、損害や損失の「発生可能性」と「被害の大きさ」の積によってあらわすことができ、これらのリスクを未然に防止するために、リスクの低減とコントロールを行なないます。

リスクへの対応方法には、大きく分けて「リスクの低減」「リスクの保有」「リスクの回避」「リスクの移転」の4つがあります。「リスクの低減」は、想定されるリスクに対して対策を行うことで、発生可能率を下げる方法です。そして「リスクの保有」は想定内のリスクを許容範囲として捉え、発生した場合は受容するといったものです。
「リスクの回避」は、問題が発生しそうな要因を消し去ることでリスクを発生させない方法であり、「リスクの移転」は、保険などでリスクが顕在化した時に担保する方法です。
マネジメントを担当する者は、こういったリスクを正しく認識して、把握し、どのように対応するのかを考えて、リスクが顕在化した時に被害や影響が最小限に抑えられるよう対応することが要求されます。

IT関連管理職の仕事に見るマネジメント

IT関連の業務では他の業種以上に気を付けておかなければいけないマネジメントがあります。
例えば、システムのリスクマネジメントについての具体的内容として、システムの脆弱性に対してセキュリティ対策を講じることにより「リスク低減」を行い、脅威発生の可能性を下げることができます。
 
データを記録した移動端末を紛失したり、盗難や情報漏洩に備えて情報を暗号化して保存したり、開発室などへの不正侵入ができないように高度な認証方式を持った入退室管理を行うことなどによりリスク低減を行います。
また、関係者全員に情報セキュリティ教育を実施することもリスクの低減となります。

そのリスクのもつ影響力が小さい場合はセキュリティ対策などを行わないで、許容範囲内として「リスクを受容」する場合があります。実施すべきセキュリティ対策が見当たらない場合や、リスク対策としてコストパフォーマンスが悪い場合などです。
但し、成り行きではなく、「受容すべきリスク」として認識されていることが重要です。

脅威発生の要因を無くしてしまうことで「リスク回避」を行うこともIT業界ではとても大切です。
インターネット経由で不正侵入が行われてはいけないシステムでは、外部との物理的な接続を行わないようにする(侵入原因を取り除く)ことでリスクを無くすことでできます。リスクが顕在化した時には、損害賠償や修復などに必要な費用といった主に金銭的なリスクを他社に移す場合を「リスクの移転」といい、損害保険などが該当します。

マネジメントとして、様々なリスクを想定して適切な対応を行なう必要があります。その他、ソフトウェアのライセンス問題や特許、著作権の問題などへの対応や人的な問題、セキュリティ問題など考慮すべき点はたくさんあります。

マネジメントで成果を得るための留意点

マネジメントで成果を上げるためには、迅速で正確な意思決定が大切です。
意思決定を行うプロセスは、まず「何のため(目的)に何を決めたい(決定事項)のか」を明らかにすることから始めます。
そのためには「何を達成(期待する成果)すれば決定事項が実現するのか」を明確に認識し、実現するための複数の案の中から最適案を選びます。

明確な目的に対する実行する最適案が決まったらリスクを予測して対策を準備します。そして実行して初期の目標を達成します。目標が達成したら、その達成度合いや完成度がどの程度だったのかを確認や分析を通じて評価し、次の計画を実行のために備えて準備を行います。

このプロセスをマネジメントすることにより、成果を確実なものにします。
マネジメントにおいては、「まあ、この程度だろう」とか、「問題が起こっても何とかなるだろう」といった自分自身への甘えや馴れ合い、いい加減さといったものは許容されることはないことを肝に銘じておきましょう。

管理職のマネジメントに必要な資質

マネジメントを行う人材は、自分に対して厳格であることが要求されます。
そして、リーダーとして「リーダーシップ」を発揮しなければなりません。
更に、よく聴き、正しく判断し、考え、思い、伝えるといったコミュニケーション能力と部下に勇気や熱意、責任感を与えるファシリテーション能力を持つことが必須ともいえます。

状況を捉えて、安全、確実な成果を上げるために、部下の指導をしつつ、発生するリスクに対応し、常に状況把握と判断を予断なく行うことがマネジメントに費用な要素です。

まとめ

管理職のマネジメントについてまとめました。
管理職のマネジメントは、目標・人・学び・予算・時間・リスクといった幅広い観点でのマネジメント能力が必要とされています。特にIT業界では、リスクの回避や低減という部分は重要なポイントとなります。
マネジメント歴の浅い方はもちろん、長くマネジメントに携わっている方も、今一度、自分のプロジェクトと自分自身を振り返る機会になれば幸いです。


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