IT業界では10年以上前からシステム開発のオフショア先として知られるようになったインド。同じようにオフショア先として隆盛を誇った中国と比較されることが多く、最近では世界の有名it企業が拠点をかまえるなど、世界有数のIT大国となりました。今回はこの急激なインド台頭の理由は何なのかを整理してみました。
若くエネルギッシュ!年代別人口構成
インドの人口ピラミッドは非常にきれいなピラミッド型、もしくは三角錐型をしており、人口13億人超のうち5割強が30歳以下という若い国です。
ITへの適性は10代から20代のうちに完成してしまうことが多く、さらに若い人材の発想力や瞬発力、爆発力を常に欲している分野でもあります。
若い人材は有能でありながらも非常にアグレッシブで知識の吸収に貪欲であり、常に新しいサービスが求められるIT分野において、インドの年代別人口構成は魅力的なのです。
たとえインド発祥のITサービスが生まれなくとも、欧米の名だたる企業がその頭脳とエネルギーを欲し、積極的に雇用や投資をおこなっています。
最近ではマイクロソフトのCEOやソフトバンクの後継者もインド出身ですから、いずれIT業界の主要なポジションを総ナメにしてしまう日がくるかもしれませんね。
年々高齢化が進む日本のIT業界からは、希望とエネルギーで光り輝いているように見えてしまいます。
伝統的な数学への適正
インドは「0」の概念が生まれた国ともいわれ、伝統的に数学への適性があると考えられています。
また、現代数学とは異なる「ヴェーダ数学」「サンスクリット経典」とった伝統的な教育方法のなかに、独自の数学的要素が盛り込まれています。
さらに根強い噂として九九を3桁まで学ぶというものがありますが、インドでも現代数学の普及によって九九は2桁になっており、これには主に受験戦争の激化が関係しているのだそうです。
いずれにせよ、it企業では数学の適性があるに越したことはありませんから、伝統的に数学への適性があり、これだけの人口を有する国であれば、自然と高度な数学的素養をもった優秀なIT人材が現れるのは当然です。
これら優秀な人材は、若いうちから海外の教育を受け、国外資本の会社へと就職していきます。
インドでは厳格な身分制度であるカースト制が存在し、かつては職業選択の自由がありませんでした。
ところがITのような新興ビジネスの分野にはそのような身分差別は関係なく、能力さえあればいくらでもお金を稼ぐことができるというのも、彼らのモチベーションになっているようです。
過去の辛い歴史を、持ち前の数学適正と新興ビジネス分野での活躍で塗り替えようとする力が、働いているのかもしれませんね。
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税制の優遇による海外企業の参入
インドでは特定分野の投資に対する税制の優遇措置が導入されています。
その中のひとつに、「研究開発への投資」というものがあり、世界各国のit企業がインドに研究開発部門を設立する足掛かりになっています。
一定の条件を満たしたうえで、認可を受ければ、10年間のタックスホリデー(法人税非課税措置)が適用されますし、研究にかかった費用の2倍を法人税の控除対象として申告可能です。
その他さまざまな特典が用意されており、外資系企業の研究開発拠点として成長しているのです。ここ10年で世界の多国籍企業の研究開発施設が増え続け、インドの都市「バンガロール」は、「インドのシリコンバレー」とも呼ばれるほどに成長しました。
タックスホリデー、タックスヘイブンを導入する国はインド以外にももちろん存在しますが、人材が獲得しやすいインドがこれを導入することで相乗効果が生まれているのでしょう。
外資系企業にとっては、税額の負担を軽減しつつ人材獲得も可能というメリットがありますからね。
英語を中心としたコミュニケーションが可能
インド人は英語力が高く、インドオフショアでは、コミュニケーションもドキュメンテーションも基本的に英語となります。そのため、欧米企業のオフショア先として実績を積んできたという歴史があります。日本企業がインドオフショアを考えた場合、翻訳や通訳が必要となり、単価の高いブリッジSEを採用する場合や、翻訳・通訳の費用が必要になる場合が多く、オフショアの単価メリットを十分に享受できない可能性があります。この点で、欧米企業は、そのような費用が不要の為、オフショアの単価メリットを受けやすく、インドでのオフショア開発が進んだといえそうです。ブリッジSEについては、必要なスキルや役割を以前にご紹介していますので、合わせて参考にしてみて下さい。
また、欧米企業とインドの場合、時差があるため、その時差を利用して開発を進められるというメリットもあります。時差を活用して24時間体制で開発に臨めば、工期を短縮することが可能です。ただ、緊急な対応が必要な時にどちらかが深夜・・・という状況にもなるため、デメリットと隣り合わせとも言えそうです。
インド以外にも、ベトナムにおけるオフショアの現状や、ミャンマーにおける現状もご紹介していますので、ぜひお読み下さい。
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