プログラムマネジメントの知識体系としては、米国PMIⓇ、日本プロジェクトマネジメント協会(PMAJⓇ)、イギリス政府などがフレームワークとして発行しています。
ここでは、米国のPMIⓇ(プロジェクトマネジメント協会)が発表している「The Standard for Program Management(プログラムマネジメント標準)」を中心に解説をします。
PMIにおけるプログラムマネジメントの分類
PMIⓇではプロジェクトマネジメントの体系を、下位からプロジェエクトマネジメント、プログラムマネジメント、そしてポートフォリオマネジメントの3つに分類しています。
プロジェクトマネジメントの分類
- プロジェクトマネジメント
単一のプロジェクトを決められた手順や方法で確実に行うことを定義しています。
- ポートフォリオマネジメント
組織の戦略的な観点から何を行うべきかを定義するプロセスを記述しています。
- プログラムマネジメント
ポートフォリオで策定された戦略をどの手段で実行するのかを記述しています。
PMIⓇにおける「プログラム」とは
PMIⓇのプログラムマネジメント標準での定義に沿うと、プログラムとは
「プロジェクトを個々にマネジメントすることでは得られないベネフィットとコントロールを実現するために、調和のとれた方法でマネジメントされる相互に関連するプロジェクトのグループである。」
としています。
そしてプログラムマネジメントとは
「プログラムの戦略目標とベネフィットを達成するために、プログラムを集中的に調和された方法でマネジメントすることである。」
としています。
いわば
「組織が発展するために策定した個別のプロジェクトの関連性を見える化し、最適な組み合わせを検討し、各プロジェクトの総和が組織全体の成果に寄与すること」
と言えます。
要は、組織の戦略を実行する方法としていくつかのプロジェクトが用意されますが、それらのプロジェクトのうち複数の相互に関連のあるプロジェクトを束ねてプログラムと考えると理解しやすいのではないかと思います。
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適用例:新車開発における分類
例えば新車の開発という命題があるとします。
新車開発をプロジェクトと定義しても良いのですが、新車開発には燃費関連のエンジン開発や、車体の軽量化、或いは自動運転などのAI活用のIT開発などといった個々のテーマが存在し、それらをプロジェクトと考えることもできます。
これらの個々のプロジェクトを束ねて初めて当初目的の新車開発が実現するので、この新車開発という命題はプログラムと考えるのが適切と言えます。
なお、プログラムマネジメントには、5つのプロセス群(立上げ、計画、実行、監視・コントロール、終結の各プロセス群)と、9つの知識エリアがあります。知識エリアではPMBOKⓇの知識エリアに加えて、プログラム財務マネジメントとプログラム・ガバナンスの全12が定義されています。また、プロセスは47が用意されています。
プログラムマネジメントを成功させるために
プログラムマネジメントを成功させるための秘訣を経験からまとめると、以下のような点が考えられます。
- トップマネジメントの強いリーダーシップ
プログラムマネジメントは組織の戦略を実現するために実行されるものですから、失敗は極力避けなければなりません。そのためにもトップマネジメント自らが率先して関心をもって進める必要があります。とくに多くの利害関係者がいる場合には、トップマネジメントの意思決定でトラブルやコンフリクトを抑えることが可能になります。
- トップマネジメントと現場の調和をとる
ここでいうトップマネジメントはプログラムマネジメント・オフィスで、現場はプロジェクトマネジメント・オフィスです。この両方のオフィス(要員)がコミュニケーション良く連携をはかりながら進めることが重要です。
- プログラムマネジメント・オフィスの位置づけを組織内で明確にする
この組織が何を行い、どういう権限や責任があり、成果は何かといったことが組織内で周知されていることです。そして最後が成果を急がない事です。プログラムは成果がでるまでに時間がかかることが多く、プログラムマネジメント・オフィスを作って進捗を管理していても計画通りにはいかないことがあります。試行錯誤を繰り返し、必要に応じ数値指標(KPI)を設定しながら少しずつ進めて努力が必要です。
我が国ではプログラムマネジメントという概念はまだ一般的ではありませんが、プログラムマネジメントを行うプログラム・オフィサーに必要なスキルや知識を自社でどう定義するかといった点など課題もあります。
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プログラムマネジメントの資格
プロジェクトマネジメントの資格と同様に、プログラムマネジメントにも資格があります。
PMIⓇではプログラムマネジメント・プロフェッショナル(PgMPⓇ)プログラムマネジメント・アーキテクト(PMA)資格試験(未実施))がありますが英語のみの試験になっています。
またPMAJⓇではプログラムマネジャー・レジスタード(PMR)資格試験が用意されています。それぞれの受験資格やその他の詳細情報は各団体のホームページなどを参照していただきたいと思います。
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